ボールペンの芯が売っていることを知らなかった|大人の発達障害

ボールペンのインクが出なくなったので、地元の百貨店の文房具コーナーに向かった。僕が新しいボールペンを選んでいると、妻がこう言った。

「なんで新しいボールペン買うの? 芯入れ替えればいいじゃん」

いや、何を言っているんだ。シャーペンの芯はあるけれどボールペンの芯は売っていない、冗談でも言っているのかな? と思い、「いやボールペンの芯なんてないでしょうよ(笑)」と、半笑いで答えた。

妻は結構な声量で、「嘘でしょ??」と、言う。どうやら冗談じゃないらしい。

僕はすぐに妻に連れられてボールペンの『芯』が売っているコーナーに行った。大量に並んだボールペンの芯を見て、この世にこんなものが売っているなんて信じられない!と思った。

これまでの人生で何度もボールペンを買い替えて生きてきた。一口にボールペンといっても、安いものから高いものまでピンキリだ。社会人になったからにはちょっといいボールペンを使ってみたりもしたが、芯を変えたことなど一度もない。

芯を替えればそのまま使えたであろうボールペンを、ずっと捨てて生きてきた。今までの人生を振り返りながら、ジワジワと悔しさが込み上げてきた。あの日あのとき捨てたDr.グリップたちは、全員まだ生きていたのか。

悲しくも有益な情報を知ってしまった。

しかし、なぜ知らなかったのか? と、言われると、「誰も教えてくれなかった」の一言に尽きる。学校は元より、家族や知人も教えてくれなかった。

学生時代も社会人になってからも、きっと誰かがボールペンの芯を替えている現場は見てきているはずだ。しかし僕の視界には一切入ってこなかった。誰かに、「ボールペンの芯がある! こうやって替える!」と、目の前で実演されなければわからないのだ。

僕には発達障害の特性がある。脳の構造上、自分が興味のない情報というのは一切頭に入ってこない。

思い返してみると「一般的には常識と言われているが、僕は知らなかった」ことがたくさんある。例えば僕は、2年ほど前までデニムに夏用と冬用があるのを知らなかった。なぜか1年を通して夏用を履いていたのでずっと下半身だけ寒かった。

そのほかにも、いつもGooglemapを使っているが、なぜかいつも逆走してしまったりする。先日妻に「周囲のわかりやすい建物にあわせてスマホをまわしてみたら?」と言われたときは膝から崩れ落ちるほど驚いた。そんな知識、一体どこで習ったんだ。

さらに僕はお皿のルールがわからない。どのお皿が洋食用なのか和食用なのか、全く理解ができない。何もわかっていないので、「これ盛りつけといて」と言われれば、取り皿にサラダを載せてしまうなんてこともある。

長くなってしまったが、何が言いたいかというと、僕と同じようにボールペンを毎度買い替えているそこのあなた! 芯は売っている! Amazonにも、ドンキにも、楽天にも、何ならコンビニにもある!!!

この事実を多くの人に伝えたく、本日は筆を取った。ただし、芯の存在を知った今、自分でも何を書いているのかよくわからなかった。

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「自分が『隠れアスペルガー受動型』だと気付くまで。」